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和食器の色の正体「釉薬」について

和食器には沢山の色があるのをご存知でしょうか?この和食器の色の違いの正体は「釉薬(うわぐすり)」。

まずは代表的な11種類の釉薬を覚えましょう。

11種類の釉薬の違いを紹介

釉薬は、「ゆうやく(うわぐすり)」と読み、焼き物の表面にかける薬のことです。

釉薬をかけることによって、焼き物に色を付けたり光沢や味わいを出すほか、水の吸水性を防いだり、割れにくくしたり汚れを付きにくくするといった実用性を兼ね備えています。

沢山ある釉薬の中から、代表的なものを紹介いたします。

白磁

透明の釉薬を施しただけで一切の模様を描かない真っ白の磁器のこと。洋食器をはじめとしたシンプルな食器によく見られる釉薬です。

和食器では色をシンプルにしたぶん造形にこだわった白磁が多くあります。

青磁

白磁の白に対して青い色が特徴の青磁。中国に端を発する釉薬で鉄分を微量に含むため青〜緑色に発色します。(青磁釉と名前はあるものの、微量鉄分を含んだ灰釉。)

織部

「志野」「黄瀬戸」と並ぶ美濃地方で生まれた独自の釉薬。緑色の発色が特徴で、これは灰釉をベースとし、呈色剤として酸化銅を3~5%加えたものを指します。

食器の全体を織部釉で覆った総織部と、部分掛けして絵を施した絵織部があります。

黄瀬戸

織部と同様に日本独自の釉薬である黄瀬戸。

淡黄色の釉のかかった瀬戸系美濃窯で焼成された桃山期の器物の作風を原点をするやきものです。

柔らかい淡黄色の釉薬全体を包み表面に緑色のたんぱんが浮かびます。

黄瀬戸には光沢の強い厚作りの菊皿手やぐいのみ手といわれる古瀬戸系黄瀬戸と、薄作りで潤いのある油揚肌に仕上がる釉中に黄土を混ぜ釉下に線刻文様のあるあやめ手系黄瀬戸に大別されます。

志野

上記「織部」「黄瀬戸」と同様に、美濃地方で生まれた日本古来の釉薬です。

特徴は白い釉面に緋色とピンホールが表れることです。白濁した釉薬を厚めにかけ、砂糖菓子のような質感に仕上がります。

焼締

釉薬をかけずに焼き固めた陶器を焼締(やきしめ)と言います。

備前焼に代表される技法で、焼き上げる際の炎の温度により色が変化します。

より高温で焼き締めた薄手のものは「南蛮手」と呼ばれることもあります。

交趾(こうち)

ベトナムのコーチシナ(交趾支那)との貿易で交趾船によりもたらされたことに由来します。

黄色の他に、緑、藍、青など透けるような鮮やかに発色が特徴で表面にレリーフを施すことも多いです。

染付

染付(そめつけ)とは、主に磁器に見られる白肌に酸化呉須(コバルト)を主とした絵の具で模様を絵付し、その上に透明釉をかけて高温焼成した器の総称です。

模様は藍青色に発色します。

赤絵

白磁に赤、緑、黄、青、黒の釉薬で模様を描いたもの。別名「色絵」。染付とは対象的に器を焼き上げたあとに絵を描くことから「上絵」とも呼ばれます。

染付と赤絵は安土桃山時代に朝鮮人陶工によって日本に伝えられたと言われています。

粉引(こひき)

鉄分の多い陶土をベースに、白い化粧土(=白泥釉)を施した器。器全体が粉を吹いたように見えることから、粉吹(こぶき)とも呼ばれています。

朝鮮の高麗茶碗がその発祥で現在日本の広い地域で作られています。

三島

粉引とどうように、そのルーツを高麗茶碗に持ちます。

成形後に花印などの彫りを施し白泥釉をかけた後に、釉薬を拭き取って生まれる白い模様が特徴です。

釉薬と技法を知ってより豊な和食器ライフを

釉薬の違いによって和食器の色や光沢、また手触りは様々に変化します。

カラーの食器に注目が集まる昨今、是非釉薬の種類も覚えてより豊な和食器ライフを送っていただきたいです。